委員の薬剤師が、ドーピング関連の話題について語るページ。あくまで、委員の独り言です。


2022年版 禁止表が公開

WADAのサイトにて、2022年版の禁止表国際基準が公開になりました。

来年は、糖質コルチコイドの基準が大きく変わります。

 

日本語版が出ましたら、またお知らせしますが、取り急ぎ英語版をお知らせです。

https://www.playtruejapan.org/topics/2021/000528.html


2020東京オリンピック・パラリンピック

コロナ禍でのオリンピック、テレビで楽しんだ方も多かったのではないでしょうか。

普段、見ることがない競技を楽しめるのは、やはりこの機会ならではですね。

 

さて、今回のTOKYO2020で「ROC ロシアオリンピック委員会」「RPC ロシアパラリンピック委員会」の表記に疑問を抱いた方も多かったのではないでしょうか。

2014年に発覚した、国レベルでの組織的ドーピング問題の影響で、ロシアの選手は「ロシア代表」としての選手団派遣が認められていないため、オリンピック委員会・パラリンピック委員会としての参加になっていました。

2022年10月までの予定なため、次の冬のオリンピック・パラリンピックも同じ扱いになる予定の様子。

自身がドーピングしていない状況で、表彰台に乗っても、国旗も国歌も使えない状況を、各選手たちはどのように考えているのでしょうか。

日本は、「うっかりドーピング」と呼ばれる意図しないドーピングが主流ですが、将来こうならないよう、常にドーピングの危険さを若きアスリートに伝える必要がありますね。


2021年版 禁止表が公開

WADAのサイトにて、2021年版の禁止表国際基準が公開になりました。

ドーピングを悪用しようとする人とのいたちごっこを防ぐために、ドーピングの禁止表は毎年10月に英語版の次年版が公開され、1月から新しい禁止表が適用されます。

2021年はCODEの変更もあります。

英語版と日本語版を比較したとき、ニュアンスの違いがあった場合、英語版が最優先になります。


日本語版は毎年、11月に公開されています。

2020.10.1


CODE
https://www.wada-ama.org/sites/default/files/resources/files/2021list_en.pdf

禁止表
https://www.wada-ama.org/sites/default/files/resources/files/2021list_explanatory_en.pdf


豚肉を食べてドーピング違反になる?

 

COVID-19の影響で本委員会も活動自粛になり、更新する話題もない日々でしたが、

久しぶりの「ひとりごと」更新です。

 

 

特定地域で生産された食肉に関する注意喚起|日本アンチ・ドーピング機構 | Japan Anti-Doping Agency (JADA)

 

先月末、JADA(日本アンチドーピング機構)より、食肉豚からクレンブテロール(禁止物質)が検出される特定地域の更新と注意喚起が出ていました。

 

食肉豚の摂取により、ドーピング違反になる可能性があるとのこと。

 

2010年ごろから、中国・メキシコ産は注意と言われていましたが、グアテマラも改めて追加です。

中国では「痩肉精」と呼ぶクレンブテロール等を豚や牛に与え、赤身の多い肉を生産している業者が未だにいるようです。

 

加熱してもクレンブテロールの影響は残るため、本来、世界的に食肉に使用は禁止になっているはずですが、脂身の少ない肉が手っ取り早く出荷できるため使用してしまうのですね。

実際に、食用肉の残留クレンブテロールによるドーピング違反の事例は過去にあります。

 

本来、クレンブテロールはβ作動薬として喘息や泌尿器の治療薬です。国内では「スピロペント錠」として昔から使用されている成分になります。

正しく使用すれば問題ないですが、ドーピングとしての歴史は長く一部のボディビルダーたちの中では筋肉増強剤として有名でした。

過剰に摂取すると、頻脈、動悸がおきやすく、長期に使用することで、低カリウム血症や白血球増加症などの報告もあります。

ドーピングの観念だけでなく、健康維持の観点でも適正に使用することが求められる成分です。

 

アスリートが該当地域で食事する際は、WADA(世界アンチドーピング機構)より

1)競技会主催団体または国際競技連盟が指定するレストランで食事を摂ること

2)指定のレストラン以外で食事をする場合には、複数名で食事をした上で、食事内容、時期、場所を記録すること

と通達が出ています。

 

世界トップレベルの選手は、食事も自由に出来ないですね…。

 

 

COVID-19の影響で、海外渡航する機会は以前より減ってしまいましたが、アスリート以外の一般の方も該当地域で外食した際に、大量に肉を食べたあと動機・手の震えなどが起きたら、クレンブテロールを使用している肉の可能性があるということです。ご注意ください。

2020.09.19 委員M.I


第105回薬剤師国家試験

オリンピックイヤーである2020年。先日2/22、2/23に薬剤師国家試験が行われました。

その中で、アンチ・ドーピングの設問があったのはみなさんご存じでしょうか?薬剤師になるためには必須であるこの試験の設問として出題されたということは、薬剤師として必要な知識の1つであるということだと思います。

ここ数年、アンチ・ドーピングの問題はほぼ毎年出題されています。オリンピックまであとおよそ4ヶ月。

薬剤師の皆さんは、これを機にアンチ・ドーピングを学んでみるのはいかがでしょうか?

2020.03.09  委員H.K


2020年版 禁止表(日本語版)が公開

2020年版 禁止表の日本語版が公開されました。

https://www.playtruejapan.org/topics/entry_img/wada_2020_japanese_prohibited_list.pdf

2019.11.25


サワイ製薬・陽進堂への提訴

昨年6月の大会時にドーピング違反になる成分・アセタゾラミドが検出されたとのことで日本アンチ・ドーピング機構より、2018年8月から2019年2月まで資格停止処分になったレスリング選手が、このたび東京地裁に製薬会社を提訴しました。

 

医師に処方された胃腸薬に、本来含有していないはずのアセタゾラミドが混入していたとニュースになったとき、薬剤師の間ではとても衝撃でした。製薬メーカーが販売している薬は、普通の食品とは比べ物にならないくらい厳重なチェックをくぐり抜けて販売されているものだからです。

何かちょっとの成分でも本来の成分以外が混入してしまった場合、その成分にアレルギーがある患者が服用してしまうかもしれない、それで死亡してしまうかもしれず、厳重な管理がされています。

今回の薬も、国の安全基準はクリアしていましたが、現在のドーピングの検査技術の向上により、発覚しました。最新の検査技術は小学校のプールに目薬1滴でさえ検出できると言われています。

 

まさか、処方した医師も薬を渡した薬剤師も、その製品の中に本来の成分以外が混入しているとは思っていなかったでしょう。医薬品の成分とその添加物が、ドーピングに引っかからないかはしっかり検討して選手に渡しますが、製造過程で混入しているものまではわかりません。

 

今回のニュースをうけて、サプリメントや健康食品だけでなく、医薬品にも「絶対安全」はないのだと痛感させられました。

薬局としても、お渡しした製造ロットを控えたり、本当にその薬を今飲む必要があるのか検討するなどのお手伝いはできますが、スポーツ選手に「絶対はない」こと、自己責任と記録の必要性についてもしっかり情報提供しなければと再考する機会になりました。

 

2019.11.23 委員M.I


2020年版 禁止表が公開

WADAのサイトにて、2020年版の禁止表国際基準が公開になりました。

https://www.playtruejapan.org/topics/2019/000413.html

ドーピングを悪用しようとする人とのいたちごっこを防ぐために、ドーピングの禁止表は毎年10月に英語版が来年版が公開され、1月から新しい禁止表が適用されます。

 

日本語版は毎年、11月に公開されます。

2019.10.01